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相続した空き家を放置するとどうなる?固定資産税・管理責任・対処法をわかりやすく解説

不動産の相続

親が亡くなって実家を相続したものの、「住む予定はないけれど、売るかどうかもまだ決められない」と、そのまま空き家になっているケースは少なくありません。

しかし、誰も住んでいないからといって、不動産の管理が不要になるわけではありません。

空き家を長期間放置すると、建物の老朽化だけでなく、固定資産税、防犯、近隣トラブルなど、さまざまな問題につながる可能性があります。

さらに、適切に管理されていない空き家については、自治体から「管理不全空家等」や「特定空家等」として指導・勧告などを受ける場合があります。

この記事では、相続した空き家を放置するとどうなるのか、固定資産税や管理上のリスク、そして売却・賃貸などの対処法までわかりやすく解説します。

不動産を相続したときの手続き全体から確認したい方は、こちらの記事をご覧ください。

不動産を相続したら何をする?手続きの流れと相続登記をわかりやすく解説

相続した空き家を放置するとどうなる?

空き家を放置することで考えられる主な問題は、次のとおりです。

  • 建物の老朽化が進む
  • 固定資産税などの費用がかかり続ける
  • 庭木や雑草が伸びる
  • 害虫・害獣が発生することがある
  • 不法侵入や放火などの防犯リスクが高まる
  • 近隣住民とのトラブルにつながることがある
  • 管理状態によっては行政から指導・勧告などを受ける可能性がある

「使っていないから費用も手間もかからない」とは限らない点に注意しましょう。

空き家でも固定資産税はかかる

誰も住んでいない家でも、不動産を所有している限り、原則として固定資産税などがかかります。

住宅が建っている土地については、一定の要件を満たすことで「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税の課税標準が軽減されます。

たとえば小規模住宅用地の場合、200㎡以下の部分について、固定資産税の課税標準が原則として6分の1になります。

そのため、「建物を残しておいた方が固定資産税が安い」と聞いたことがある方もいるかもしれません。

ただし、管理状態が悪い空き家については注意が必要です。

「管理不全空家等」とは?

空家等対策の推進に関する特別措置法では、適切な管理が行われておらず、そのまま放置すれば「特定空家等」になるおそれがある空き家について、「管理不全空家等」として対応できる仕組みがあります。

つまり、倒壊寸前などの深刻な状態になる前の段階から、自治体が所有者へ管理を促すことができます。

市区町村から管理について指導を受けても改善せず、勧告を受けた場合には、その敷地について住宅用地の固定資産税等の特例措置が適用されなくなる可能性があります。

「特定空家等になるほど悪化していなければ大丈夫」ではありません。

「特定空家等」とは?

さらに状態が悪化すると、「特定空家等」に該当する可能性があります。

たとえば、次のような状態です。

  • そのまま放置すると倒壊など保安上危険となるおそれがある
  • そのまま放置すると著しく衛生上有害となるおそれがある
  • 適切な管理が行われず、著しく景観を損なっている
  • その他、周辺の生活環境を守るために放置することが不適切である

特定空家等になると、市区町村から助言・指導、勧告、命令などを受ける可能性があります。

さらに一定の場合には、行政代執行などによって除却等が行われ、その費用が所有者へ請求されることもあります。

勧告を受けると固定資産税が高くなる可能性がある

空き家問題で特に知っておきたいのが、住宅用地特例との関係です。

市区町村から勧告を受けた管理不全空家等または特定空家等の敷地については、固定資産税等の住宅用地特例の対象から外れる場合があります。

小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準が原則として6分の1に軽減されています。

そのため、特例が外れると税負担が大きく増える可能性があります。

ただし、

「空き家になった瞬間に固定資産税が6倍になる」

という意味ではありません。

実際の税額は土地の評価額、負担調整措置、自治体の課税内容などによって異なるため、個別に確認する必要があります。

空き家は建物自体も劣化していく

住宅は、人が住まなくなると劣化が進みやすくなります。

たとえば、

  • 換気不足による湿気やカビ
  • 雨漏り
  • 給排水設備の劣化
  • 害虫・害獣の侵入
  • 庭木や雑草の繁茂
  • 外壁や屋根の劣化

などが考えられます。

最初は小さな修繕で済んだものが、数年間放置したことで大規模な修繕が必要になることもあります。

建物の状態が悪化すれば、将来売却するときの価格や買主の見つかりやすさにも影響する可能性があります。

近隣トラブルにつながることもある

空き家は所有者だけの問題ではありません。

庭木が隣の敷地へ伸びたり、建物の一部が落下したり、害虫が発生したりすると、近隣住民へ影響を与える可能性があります。

台風などで屋根材や外壁の一部が飛散することも考えられます。

相続した家に住んでいなくても、所有者として適切な管理を心がけることが重要です。

防犯面のリスクもある

人が住んでいないことが分かる状態が続くと、不法侵入や放火、不法投棄などのリスクが高まる可能性があります。

たとえば、

  • 郵便物が大量にたまっている
  • 庭木や雑草が伸び放題になっている
  • 夜間にまったく照明がつかない
  • 窓や雨戸が長期間閉じたままになっている

といった状態は、長期間人がいないことを外部から分かりやすくしてしまう場合があります。

定期的な確認や郵便物の整理など、最低限の管理を続けましょう。

相続登記をせずに放置するのも避けよう

空き家そのものだけでなく、不動産の名義を亡くなった方のまま放置することにも注意が必要です。

2024年4月1日から相続登記は義務化されています。

相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、自分のために相続が開始したことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。

正当な理由なく申請義務を怠った場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

さらに、相続登記をしないまま次の相続が発生すると、関係する相続人が増えて手続きが複雑になることがあります。

相続登記についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

相続した不動産の名義変更とは?相続登記の期限・必要書類・費用をわかりやすく解説

空き家を相続したら考えたい4つの選択肢

誰も住む予定がない場合は、「とりあえず保有する」以外の方法も検討してみましょう。

① 売却する

今後利用する予定がないのであれば、売却は有力な選択肢です。

売却すれば、固定資産税や建物管理の負担をなくすことができます。

また、不動産を現金化することで、複数の相続人で財産を分けやすくなる場合もあります。

相続した不動産の売却についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

相続した不動産を売却するには?流れ・税金・注意点をわかりやすく解説

② 賃貸する

立地や建物の状態によっては、賃貸住宅として活用できる可能性があります。

家賃収入を得ながら不動産を保有できる点はメリットです。

ただし、

  • リフォーム費用
  • 修繕費
  • 管理会社への管理料
  • 固定資産税
  • 火災保険料
  • 空室リスク

などを考える必要があります。

想定家賃だけではなく、費用を差し引いた実際の収支を確認して判断しましょう。

③ 自分や家族が利用する

自分が住むほか、子どもなど家族が利用する方法もあります。

将来的に利用する予定がある場合は、すぐに売却しない方がよいケースもあります。

ただし、

「いつか使うかもしれない」

という理由だけで長期間保有すると、固定資産税や修繕費などの維持費が積み重なる可能性があります。

④ 適切に管理しながら保有する

すぐに結論を出せない場合には、一定期間保有することもできます。

その場合でも、定期的に、

  • 換気する
  • 室内を清掃する
  • 庭木・雑草を管理する
  • 雨漏りを確認する
  • 屋根・外壁の状態を確認する
  • 郵便物を整理する
  • 防犯状態を確認する

などの管理を行いましょう。

遠方に住んでいて管理が難しい場合には、空き家管理サービスなどを利用する方法もあります。

実家をどうするか決めていない場合はこちらも確認

空き家になっている実家について、

「売る・貸す・住むのどれがいいのか分からない」

という場合には、それぞれの選択肢を比較することが大切です。

実家を相続した後の選択肢についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

実家を相続したらどうする?住む・売る・貸す・空き家にする場合の選択肢を解説

相続した空き家には3,000万円特別控除が使えることも

相続した実家を売却する場合、一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が利用できる場合があります。

いわゆる「相続空き家の3,000万円特別控除」です。

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」と呼ばれます。

2026年9月現在、一定の要件を満たす2027年12月31日までの譲渡が対象です。

ただし、すべての相続した空き家が対象になるわけではありません。

対象となる家屋については、原則として、

  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されていること
  • 区分所有建物登記がされている建物ではないこと
  • 相続開始直前に原則として被相続人以外の居住者がいなかったこと

などの要件があります。

さらに、売却時期や売却代金、耐震性などについても要件があります。

なお、2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋や敷地等を相続または遺贈によって取得した相続人が3人以上の場合には、特別控除額の上限は1人あたり2,000万円となります。

売却を検討している場合には、特例を利用できるか早めに確認しておきましょう。

「いつか考える」が一番のリスクになることも

相続した直後は、実家への思い入れもあり、すぐに売却を決められないことがあります。

もちろん、急いで結論を出す必要がないケースもあります。

しかし、何も決めず、何も管理せずに数年間放置することはおすすめできません。

時間が経つほど、

  • 建物が老朽化する
  • 修繕費が増える
  • 固定資産税などを払い続ける
  • 相続人の状況が変わる
  • 次の相続が発生する
  • 売却しにくくなる
  • 税制上の特例を利用できる期間を過ぎる

といった問題が生じる可能性があります。

「すぐには売らない」と「何もしない」は別と考えましょう。

空き家を相続したときのチェックリスト

  • 相続登記は済んでいるか
  • 建物に雨漏りや破損はないか
  • 庭木や雑草は管理されているか
  • 郵便物がたまっていないか
  • 防犯上の問題はないか
  • 固定資産税はいくらかかっているか
  • 今後必要になる修繕費はいくらか
  • 自分や家族が将来使う予定はあるか
  • 売却した場合はいくらになりそうか
  • 賃貸需要はあるか
  • 空き家の税制特例を利用できないか

まずはこれらを整理するだけでも、今後の方向性を考えやすくなります。

まとめ|相続した空き家は早めに方向性を決めよう

相続した空き家を放置すると、建物の老朽化や固定資産税、管理の負担、近隣トラブルなど、さまざまな問題につながる可能性があります。

さらに、管理状態が悪化して管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、固定資産税等の住宅用地特例から外れる場合があります。

大切なのは、

  • 売る
  • 貸す
  • 住む
  • 適切に管理して保有する

といった選択肢を比較し、将来の方向性を考えることです。

「今すぐ決めない」という選択をする場合でも、「何もしない」という状態にはしないことが重要です。

家族で話し合いながら、相続した不動産をどのように引き継いでいくのか早めに検討しましょう。

不動産相続全体の手続きについては、親記事であるこちらの記事もあわせて確認してください。

不動産を相続したら何をする?手続きの流れと相続登記をわかりやすく解説

不動産相続について次に確認したい記事

参考情報・出典

本記事の作成にあたり、主に以下の公的機関の情報を参考にしています。

※空き家になっただけで直ちに固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるわけではありません。管理不全空家や特定空家等として市区町村から勧告を受けるなど、一定の場合に住宅用地特例の対象から除外されることがあります。具体的な取扱いについては、土地・建物が所在する市区町村へご確認ください。


※本記事は不動産・相続・空き家に関する一般的な情報提供を目的としています。管理不全空家等・特定空家等への該当性、固定資産税等の取扱い、相続空き家の特別控除、相続登記などは個別事情や自治体の判断、法改正等によって異なる場合があります。具体的な空き家対策については自治体や不動産会社、登記については司法書士、税務については税理士または税務署などへご確認ください。

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