「生命保険の受取人が、被保険者より先に亡くなっていたらどうなる?」
「受取人を変更しないまま本人が亡くなった場合、誰が死亡保険金を受け取るの?」
生命保険は長期間契約することが多いため、死亡保険金受取人として指定していた配偶者や親などが、被保険者より先に亡くなることがあります。
このとき注意したいのが、受取人が亡くなったからといって、必ず自動的に希望する家族へ受取人が変更されるわけではないということです。
受取人を変更しないまま被保険者が亡くなった場合には、保険法上のルールや契約内容・約款などに基づいて、死亡した受取人の相続人が死亡保険金を受け取ることがあります。
その結果、想定していなかった人が受取人になったり、複数人が死亡保険金を受け取ることになったりする可能性もあります。
この記事では、生命保険の受取人が先に死亡していた場合に誰が死亡保険金を受け取るのか、受取人変更をしていなかった場合の注意点や税金についてわかりやすく解説します。
生命保険を使った相続対策の全体像については、こちらの記事で解説しています。
生命保険は相続対策になる?メリット・活用方法・注意点をわかりやすく解説
- 生命保険の受取人が先に死亡したらどうなる?
- 受取人を変更していない場合は「受取人の相続人」がポイント
- 受取人の相続人が複数いる場合はどうなる?
- 具体例|妻が先に亡くなっていた場合
- 死亡した受取人の「遺産」として分けるの?
- 受取人が死亡した時点で相続税はかかる?
- 死亡保険金にかかる税金は契約形態で変わる
- 相続税になる場合は死亡保険金の非課税枠も確認する
- 受取人を変更しないことによる3つのリスク
- 受取人が亡くなったら早めに変更する
- 受取人変更は相続対策の見直しにもなる
- 死亡保険金は相続財産になる?
- 受取人を見直した方がよいタイミング
- 古い生命保険は一度すべて確認しよう
- まとめ|受取人が死亡したら放置せず契約内容を確認する
- 生命保険と相続について次に確認したい記事
生命保険の受取人が先に死亡したらどうなる?
たとえば、次のような生命保険契約があったとします。
- 被保険者:夫
- 死亡保険金受取人:妻
- 死亡保険金:2,000万円
ところが、夫より先に妻が亡くなり、その後も死亡保険金受取人を変更しないまま夫が亡くなったとします。
この場合、すでに亡くなっている妻自身が死亡保険金を受け取ることはできません。
そこで、誰が死亡保険金を受け取る権利を持つのかが問題になります。
実際の受取人については、保険法上のルールに加えて、契約内容や約款、受取人変更の有無、家族関係などを確認する必要があります。
そのため、受取人が先に亡くなったことが分かった時点で、保険会社へ連絡し、受取人変更の手続きを確認することが重要です。
受取人を変更していない場合は「受取人の相続人」がポイント
死亡保険金受取人が被保険者より先に死亡し、その後受取人が変更されていない場合には、死亡した受取人の相続人が死亡保険金を受け取ることがあります。
ここで重要なのは、
「被保険者の相続人」と「死亡した受取人の相続人」は必ずしも同じではない
ということです。
たとえば、
- 被保険者:夫
- 受取人:妻
という契約で、妻が先に死亡したケースを考えます。
妻の相続人が夫と子であれば、その後の死亡保険金の受取人について、妻の相続人との関係を確認する必要があります。
家族構成が複雑な場合には、当初想定していなかった人が関係する可能性もあるため注意が必要です。
受取人の相続人が複数いる場合はどうなる?
死亡した受取人に複数の相続人がいるケースもあります。
たとえば、母を死亡保険金受取人にしていたものの、母が先に亡くなり、その相続人として複数の子がいるケースです。
この場合、死亡保険金を受け取る権利が複数人に生じることがあります。
ただし、具体的に誰が受取人となるのか、どのような割合で死亡保険金を受け取るのかについては、契約内容・約款や適用される法律上のルールなどを確認する必要があります。
「通常の遺産と同じように法定相続分で分ける」と自己判断しないことが重要です。
実際に受取人が死亡している契約については、加入している保険会社へ確認しましょう。
具体例|妻が先に亡くなっていた場合
具体例で考えてみましょう。
夫が生命保険に加入し、妻を死亡保険金受取人としていたとします。
- 被保険者:夫
- 死亡保険金受取人:妻
- 子:長男・長女
その後、妻が夫より先に亡くなりました。
しかし、夫は生命保険の受取人を変更しませんでした。
その後夫が亡くなった場合、妻はすでに亡くなっているため、契約内容や約款、法律上のルールなどに基づいて、死亡保険金を誰が受け取るのかを確認する必要があります。
このようなケースでは、妻の相続人が関係してくることがあります。
もし夫が、
「妻が亡くなった後は長男だけに死亡保険金を残したい」
と考えていたとしても、受取人変更をしていなければ、その希望どおりの結果になるとは限りません。
だからこそ、受取人が亡くなった場合には、そのままにせず契約内容を確認し、必要に応じて受取人変更を行うことが大切です。
死亡した受取人の「遺産」として分けるの?
ここも混同しやすいポイントです。
死亡保険金の支払事由である被保険者の死亡より前に、指定されていた受取人が亡くなっていた場合、まだ死亡保険金そのものがその受取人へ支払われていたわけではありません。
したがって、単純に、
「亡くなった受取人が死亡保険金を取得し、それをその人の遺産として相続人が分ける」
と考えるのは適切ではありません。
誰が死亡保険金を受け取る権利を取得するのかを、契約内容や法律上のルールに基づいて確認する必要があります。
受取人が死亡した時点で相続税はかかる?
受取人が亡くなった時点で、まだ被保険者が生存しており、死亡保険金の支払事由が発生していない場合があります。
この場合、受取人が亡くなったという事実だけで、その受取人に死亡保険金が支払われるわけではありません。
死亡保険金についての課税関係は、実際に保険事故が発生して保険金を取得することになった時点で、保険料負担者・被保険者・実際の受取人などを確認して判断する必要があります。
死亡保険金にかかる税金は契約形態で変わる
死亡保険金にかかる税金は、誰が実際に保険料を負担していたのかによって変わります。
代表的な契約形態は次のとおりです。
| 保険料負担者 | 被保険者 | 受取人 | 主な税金 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
| 妻 | 夫 | 妻 | 所得税 |
| 妻 | 夫 | 子 | 贈与税 |
受取人が先に死亡して別の人が死亡保険金を受け取ることになった場合も、実際の契約関係や保険料負担関係を確認して税金を判断する必要があります。
相続税になる場合は死亡保険金の非課税枠も確認する
被相続人が保険料を負担していた一定の死亡保険金を相続人が取得した場合には、相続税の対象となる一方、死亡保険金の非課税制度を利用できる場合があります。
非課税限度額は、
500万円 × 法定相続人の数
です。
たとえば法定相続人が3人なら、
500万円 × 3人 = 1,500万円
が非課税限度額となります。
ただし、死亡保険金を受け取った人が相続人ではない場合には、この非課税制度を利用することはできません。
受取人が先に死亡しているケースでは、最終的に誰が死亡保険金を取得することになるのかが重要です。
死亡保険金の非課税枠についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
生命保険の相続税非課税枠とは?500万円×法定相続人の計算方法を解説
受取人を変更しないことによる3つのリスク
1|希望していた人に死亡保険金を残せない可能性がある
最も大きな問題です。
「妻が亡くなったら長男に残したい」と考えていても、実際に受取人変更をしていなければ、その意思どおりになるとは限りません。
2|受取人が複数人になる可能性がある
死亡した受取人に複数の相続人がいる場合、複数人が死亡保険金の受取人として関係する可能性があります。
生命保険によって「特定の人に現金を残したい」と考えていた場合には、当初の目的と異なる結果になる可能性があります。
3|手続きが複雑になる可能性がある
受取人がすでに死亡している場合、通常の死亡保険金請求よりも確認すべき事項や必要書類が増える可能性があります。
誰が受取人となるのかを確認するため、戸籍などの書類を求められることもあります。
必要書類は保険会社や契約内容によって異なるため、加入している保険会社へ確認しましょう。
受取人が亡くなったら早めに変更する
被保険者が生存していて、死亡保険金受取人が先に亡くなったことが分かった場合には、生命保険契約をそのまま放置せず、保険会社へ連絡しましょう。
確認したいのは、
- 現在登録されている死亡保険金受取人
- 受取人を変更できるか
- 新しい受取人として誰を指定できるか
- 変更に必要な書類
- 契約者や被保険者に必要な手続き
などです。
保険会社や商品によって手続き方法が異なるため、現在加入している保険会社へ確認してください。
受取人変更は相続対策の見直しにもなる
受取人が亡くなったときは、単に新しい受取人を設定するだけでなく、相続対策全体を見直す機会でもあります。
たとえば、
- 現在の相続財産はいくらあるか
- 誰が不動産を相続する予定か
- 誰に現金を残したいか
- 相続税は発生しそうか
- 納税資金は足りるか
- 死亡保険金の非課税枠を活用できるか
- 二次相続まで考える必要があるか
などを確認します。
家族構成が変われば、適切な受取人も変わる可能性があります。
生命保険の受取人の決め方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
生命保険の受取人は誰にする?相続対策で失敗しない決め方を解説
死亡保険金は相続財産になる?
受取人を考える際には、死亡保険金そのものの相続上の扱いも理解しておきましょう。
受取人が指定されている死亡保険金は、一般に受取人固有の財産となり、原則として通常の遺産分割の対象にはなりません。
一方で、被相続人が保険料を負担していた一定の死亡保険金は、相続税上「みなし相続財産」として相続税の対象になる場合があります。
死亡保険金と相続財産の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
死亡保険金は相続財産になる?遺産分割・相続税との違いをわかりやすく解説
受取人を見直した方がよいタイミング
受取人の死亡以外にも、次のようなタイミングでは生命保険の受取人を確認しましょう。
- 結婚したとき
- 子どもが生まれたとき
- 離婚したとき
- 再婚したとき
- 受取人が亡くなったとき
- 子どもが独立したとき
- 不動産を購入・売却したとき
- 相続財産が大きく変わったとき
- 遺言書を作成・変更したとき
特に何十年も前に加入した生命保険は、現在の家族構成と受取人設定が合っていない可能性があります。
古い生命保険は一度すべて確認しよう
生命保険は契約期間が長いため、本人も契約内容を正確に覚えていないことがあります。
相続対策を考える際には、加入している生命保険を一覧にして、
- 保険会社
- 保険種類
- 被保険者
- 契約者
- 実際の保険料負担者
- 死亡保険金額
- 死亡保険金受取人
を確認しておきましょう。
生命保険は非課税枠だけでなく、受取人を指定できることや納税資金を準備できることなどから、相続対策に利用されることがあります。
生命保険を使った相続対策全体についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
生命保険は相続対策になる?メリット・活用方法・注意点をわかりやすく解説
まとめ|受取人が死亡したら放置せず契約内容を確認する
生命保険の死亡保険金受取人が被保険者より先に亡くなった場合、そのままにしておくのはおすすめできません。
受取人を変更しないまま被保険者が亡くなると、契約内容や法律上のルールなどに基づいて、死亡した受取人の相続人が死亡保険金を受け取ることがあります。
その結果、
- 希望していなかった人が受取人になる
- 死亡保険金を複数人で受け取ることになる
- 請求手続きが複雑になる
可能性があります。
受取人が亡くなったことが分かったら、まず保険会社へ連絡し、現在の契約内容と受取人変更の方法を確認しましょう。
そして新しい受取人を決める際には、単に一番身近な人を指定するのではなく、
相続財産・相続税・不動産・納税資金・二次相続まで含めて考える
ことが大切です。
生命保険と相続について次に確認したい記事
- 生命保険は相続対策になる?メリット・活用方法・注意点をわかりやすく解説
- 生命保険の受取人は誰にする?相続対策で失敗しない決め方を解説
- 死亡保険金は相続財産になる?遺産分割・相続税との違いをわかりやすく解説
- 生命保険の相続税非課税枠とは?500万円×法定相続人の計算方法を解説
参考情報・出典
本記事の作成にあたり、主に以下の公的機関の情報を参考にしています。
※受取人が先に死亡していた場合の実際の受取人は、保険契約の約款や指定状況によって異なることがあります。また、死亡保険金の課税関係は、被保険者・保険料負担者・受取人の関係によって異なります。具体的な受取人の取扱いは加入している保険会社、税務上の取扱いは税理士または税務署へご確認ください。
※本記事は生命保険と相続に関する一般的な情報提供を目的としています。受取人が先に死亡した場合の具体的な受取人、受取割合、請求方法などは、契約内容・約款・家族関係等によって異なる場合があります。また、税務上の取扱いは実際の保険料負担者や受取人等によって異なります。具体的な契約については保険会社へ、税務・法務については税理士・弁護士などの専門家へご確認ください。



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